ムーンショット目標5プロジェクト

ムーンショット目標5について

「ムーンショット型研究開発制度」は、少子高齢化の進展や大規模自然災害への備え、地球温暖化問題など日本が抱える多くの困難な課題の解決にむけて、画期的なイノベーションの創出を目指し、大胆な発想に基づく研究開発を推進する取り組みです。
「ムーンショット」という言葉は、もともとはアメリカの宇宙開発計画(アポロ計画)に由来します。
1961年、当時のアメリカ大統領ジョン・F・ケネディが「1960年代が終わる前に月面に人類を月に着陸させ、無事に帰還させる」という目標を掲げました。この目標は非常に大胆で、当時の技術では実現が難しいと考えられていましたが、1969年にアポロ11号の成功によって実現されました。
「ムーンショット」という言葉は、このような「非常に難しいが実現すれば大きなインパクトを与える挑戦」を意味するようになりました。ムーンショット型研究開発制度では、今は実現困難な社会課題の解決に果敢に挑戦し、未来社会への展望を切り拓くことを目指しています。

(参照:内閣府 ムーンショット型研究開発制度

ムーンショット目標5について

ムーンショット目標

ムーンショットでは、「人々の幸福(Human Well-being)」の実現を目指し、将来の社会課題を解決
するため、以下の10個の目標を設定しています。

目標

2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

目標

2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現

目標

2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現

目標

2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現

目標

2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出

目標

2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

目標

2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現

目標

2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現

目標

2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現

目標

2050年までに、フュージョンエネルギーの多面的な活用により、地球環境と調和し、資源制約から解き放たれた活力ある社会を実現

(出典:内閣府 ムーンショット目標


ムーンショット目標5

目標05

2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出

2050年には世界中で食料の需要が今より1.7倍になると予測されています。その一方で、地球温暖化により異常気象が増え、肥料の不足も進んでいます。このため、今の食料生産方法だけでは、地球の自然循環が壊れてしまい、必要なの食料を作るのが難しくなるかもしれません。また、化学肥料や農薬の使用が自然環境に悪影響を与えていることも問題です。
さらに、現在の食料生産には大量のエネルギーや水、土地が必要で、多くの食品が無駄になっています。ムーンショット目標5では、微生物や昆虫など、まだ十分に活用されていない未利用の生物の機能等を活かし、人工的な物質に頼らずに自然の循環をうまく利用することで、効率的かつ持続可能な食料生産システムを構築しようとしています。この目標を達成することで、食料の増産と地球環境の保護を両立する新しい方法を実現することが期待されています。
この目標の達成のために、以下の8つの研究開発プロジェクトが実施されています。

1.

食料供給の拡大と地球環境保全を両立する食料生産システム

研究開発プロジェクトプロジェクトマネージャー
サイバーフィジカルシステムを利用した作物強靭化による食料リスクゼロの実現藤原 徹(東京大学)
土壌微生物叢アトラスに基づいた環境制御による循環型協生農業プラットフォーム構築竹山 春子(早稲田大学)
藻類と動物細胞を用いたサーキュラーセルカルチャーによるバイオエコノミカルな培養食料生産システム清水 達也(東京女子医科大学)
先端的な物理手法と未利用の生物機能を駆使した害虫被害ゼロ農業の実現日本 典秀(京都大学)
牛ルーメンマイクロバイオーム完全制御によるメタン80%削減に向けた新たな家畜生産システムの実現小池 聡(北海道大学)
2.

食品ロス・ゼロを目指す食料消費システム

研究開発プロジェクトプロジェクトマネージャー
地球規模の食料問題の解決と人類の宇宙進出に向けた昆虫が支える循環型食料生産システムの開発由良 敬(お茶の水女子大学)
自然資本主義社会を基盤とする次世代型食料供給産業の創出高橋伸一郎(東京大学)
低温凍結粉砕含水ゲル粉末による食品の革新的長期保存技術の開発古川 英光(山形大学)