ムーンショット目標5プロジェクト

自然資本主義社会を基盤とする次世代型食料供給産業の創出

ムーンショット型研究開発制度では、「人々の幸福(Human Well-being)」の実現を目指し、将来の社会課題を解決するため、10個の目標を設定しています。その1つである目標5「2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出」では、8つの研究開発プロジェクトを実施しています。

(参照:ムーンショット目標5について

自然資本主義社会を基盤とする次世代型食料供給産業の創出

ムーンショット目標5プロジェクト「自然資本主義社会を基盤とする次世代型食料供給産業の創出」

AI Nutritionによる未来型食品の開発

限りある自然資本を有効に活用するための技術を開発することで、地球環境の保全と食料の量・質の増加・向上を両立させた新しい食料供給産業を構築し、さらにこのような産業構造を支持する『自然資本(地球至上)主義社会』を次世代の人類のために構築・普及させたいと考えています。

プロジェクトマネージャー(PM):高橋伸一郎
国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科教授

「食」の恩恵をもたらす豊かな自然資本を未来に向けて構築する必要がある!

人口増加や環境破壊、温暖化が急速に進む地球において、他の生物と共存共生を図りながら、地球上に人類が生き残る道を見出すことは、将来の人類に対する私達の責務です。

そこで本プロジェクトではまず、(1)マルチモーダルなデジタル技術を駆使することで、科学的エビデンスに基づいた「食から健康」を実現するために必要な基盤技術『AI Nutrition技術』を数理科学的手法や医と食の協創を通じて確立します。次に(2)AI Nutrition技術を駆使することで、健康寿命の延伸に資する『未来型食品』の開発を推進します。これにより、全ての人々が健康的な生活を送るために必要な栄養素の総量を算出し、その上で(3)限られた自然資本をこれ以上疲弊させることなく、地球が与えてくれる恵みを無駄なく利用した未来型食品を提供する『次世代型食料供給産業』を2050年までに創出することを目指します。こうした取り組みを推進することで、豊かな自然資本を未来に向けて構築していきます。

また、食料供給産業は消費者のニーズによって形成されることから、健康と環境に配慮した合理的な食料消費を促すため、消費者の意識を現在の経済偏重資本主義から『自然資本主義』へと変容させる必要があり、この社会活動を東京大学大学院農学生命科学研究科が進めている「One Earth Guardians育成プログラム」の協力を得ながら推進します。

「食から健康」を実現するAI Nutrition技術で社会変容に挑む!

本プロジェクトでは、2030年までに食品・飼料を構成する栄養素などが生物個体に与える影響を数理科学的手法や医と食の協創によって包括的に理解することで、生物情報を目的に合せてデザインする『AI Nutrition技術』の基盤を確立します。さらに本技術を駆使することで、科学的エビデンスに基づいた「食」による健康の保持・増進を可能とする『未来型食品』の実現に向けた道筋をつけます。本プロジェクトでは特に、生活習慣病や老化の予防などに効果的な「食」を探求していきます。

さらにこうした研究成果から「食」の重要性を再認識し、「食」の恩恵をもたらしてくれる自然資本を大切にすることの大事さを皆さんと共に考えることで、自然資本主義に向けた社会変容に挑みたいと考えています(DX Nutrition)。

参照


本コンソーシアム全体の概要と目標

研究開発

ウェアラブルデバイスで自分の健康状態をモニタリング

すべての人々が健康で穏やかな生活を過ごせるようにするため、様々なモダリティを駆使して、将来起こりうる健康問題を未然に防ぎます。

AIによる個人の健康維持に最適化された食のデザイン

ウェアラブルデバイスで取得されたデータをもとに、AIが一人ひとりの健康を保持・増進するために最適な食をデザインします。

PM活動

地球の未来を守りながら最適な食を供給できる社会の形成!

みなさんが健康で穏やかな生活を過ごすために必要な食の量と質を計算することで、地球に負荷をかけず必要な食を供給できる社会の形成を目指します。