魚のアラ料理、気になるお味は・・・?「エコ・ガストロノミー」未利用資源を活用した料理を試食

体験する
第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)
TET編集部 TET編集部

未利用資源を活用した料理の試食会「第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)」のレポートを3回に分けてお届けします。

この試食会は、ムーンショット型農林水産研究開発事業における、未利用生物資源を用いた新しい食料供給産業の実現の取り組みの一環です。

今回の第二弾では、実際に試食会で出された料理の食レポートをしていきたいと思います。

実際のお味や、調理の際のポイントなどもお伝えします。ぜひお楽しみに!

試食会の概要については、第一弾をご覧ください。

未利用資源を活用した料理を試食!

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

会場には、未利用資源を活用した料理がずらりと並びます。

お腹の許す限りいただき、料理人の皆さんに料理のポイントを聞いていきましょう。

魚々パン(ぎょぎょパン)

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

はじめにいただいたのは、島根県立邇摩高校で作られた「魚々パン」。バターロールパンの生地に、魚のアラのペーストが練り込んであります。

まず、パンとしてのクオリティが高いことに驚きました。パン屋さんで売っているような、美味しいバターロールパンです。バターの風味がほのかに香り、口当たりが軽くいただけました。

魚の臭みはまったくなく、ジャムやバターを付けなくても、そのままで非常に美味しいです。さらに魚の骨が入っているということで、カルシウムも摂取できるのが嬉しいポイントですね。

魚々っキー(ぎょぎょっキー)

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

同じく邇摩高校の作ったクッキー、「魚々っキー」。魚の風味がアクセントになり、サクッとした食感も楽しく、非常に美味しくいただけました。

<作った生徒からのひとこと>

生徒

「クッキーは、いつもの材料から少し変えて、甘みを出すことで魚の臭みを消しました。
いつもはグラニュー糖を使ってクッキーを作っているのですが、グラニュー糖で作ると少し臭みが出てしまうので、上白糖に変えたことで魚の臭みを少し消すことができるようになりました。」

アラ入り春巻き

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

アラ入り春巻きは、個人的に魚のアラとの相性がとても良い料理だと感じました。
パリッとした春巻きの皮と、しそと梅がマッチしたアラ入りの具が見事にハマっています。

<担当料理人からのひとこと>

担当料理人

「春巻きは、イワシのつみれをイメージし、しそと梅を入れました。
一度加熱していることで、すり身が固まらなかったので、生のすり身と合わせて固まるようにしました。
スズキのみのすり身は臭みがありますが、今回はさまざまな魚のアラを使ったので、かまぼこのような風味になり、良い感じに臭みが消せたように思います。
チーズを入れても美味しいと思うので、次回はチーズを合わせてみたいです。」

あら玉子焼きずし

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

あら玉子焼きずしは、工夫が凝らされた渾身の一品。

魚のすり身が入ったお寿司屋さんの卵焼きをイメージしただけあり、とても口馴染みの良いお味でした。

色が少し黒いのは臭み消しの刺身醤油が入っているからだそうで、こちらも非常に良いアクセントとなっていました。

<担当料理人からのひとこと>

担当料理人

「魚のすり身が入っている、お寿司屋さんの卵焼きをイメージしました。魚の臭みを消すために刺身醤油も入れています。

卵焼きだけだと磯臭さも出ますが、海苔と一緒に食べることでマイルドになるのがポイントです。
通常は廃棄する部分を美味しく食べられるようにするというプロジェクトなので、魚臭さを消すことはとても意識した部分です。」

アラ入り白身魚のピキージョ(トマトグラタン)

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

魚のアラが、本格的で高級感のあるフランス料理「ピキージョ」に。こだわりのヴァンブランソースがアラ入り白身魚にとても合っていて、非常に美味しいです。

<担当料理人からのひとこと>

担当料理人

「魚のアラのすり身に、フランス料理のヴァンブランソースをアラのペーストに混ぜ込みました。
ヴァンブランソースは、白ワインの伝統的なソースなんですが、そこに魚のアラのペーストをといていき、魚のすり身の中に入れました。
実際にフランス料理では、魚のすり身をジャガイモと合わせたものをピーマンに詰め込む料理があり、そこから着想を得ました。
魚の臭みをできるだけ消すことを意識しました。バジルなど癖のあるもの同士で合わせると、臭みが相殺されるんです。」

三瓶サーモンのアラと挽肉のレモン風味ハンバーグ

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

皆大好きなハンバーグもアラ入り料理に!
会場にはお子さんも来られていましたが、喜んでハンバーグを食べていました。

こちらの料理のポイントは、臭み消しにレモンを活用したこと。
さらに食べやすいサーモンのアラを使っており、爽やかなレモンの風味が楽しめる料理となっていました。

<担当料理人からのひとこと>

担当料理人

「サーモンの頭と骨と尻尾を煮込んだものを、合い挽き肉と合わせました。
肉が2、魚が1の割合で作りました。

魚臭さを消すためにレモンを入れ、生臭さを軽減させました。
レモンは圧力鍋で魚のアラを煮る時に一緒に入れ、仕上げにもレモンの皮をふりかけました。」

アラ!いいわね。ふりかけ

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

魚のアラを使ったふりかけ。
ご飯にかけても魚にかけても美味しい、万能な逸品です。

<担当料理人からのひとこと>

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)
担当料理人

「魚のアラを使ったパウダーと、玉子の黄身を裏ごしして乾燥させたパウダー、ダシをとった鰹節を乾燥してパウダーにしたものを合わせてふりかけにしました。

前回もアラのパウダーを作ったのですが、今回はパウダー自体を活かした料理にしようと思い、おにぎりや魚料理を作りました。

パウダーにすると、保存が効きます。
パウダー単体で食べても全く臭みがなく美味しいですし、どんな料理にも合わせやすいと思います。」

アラ?焼いちゃったのね。さば

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

さばにもふりかけをかけていただいたのですが、こちらもすごく美味しかったです! 上に乗っている卵黄も非常に合います。

アラ入りジャガイモの包み焼き

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

高校生料理人、石飛権樹さんによる「アラ入りジャガイモの包み焼き」。
風味や食感などに創意工夫がみられ、アラの風味も活かしつつ美味しく仕上げているのがすごいなと感じました。
トマトソースとも非常によく合い、大変満足度の高い一品でした。

<担当料理人からのひとこと>

担当料理人

「まず茹でたジャガイモとアラを裏ごしし、それを丸めて、千切りにしたジャガイモに包んで揚げています。
ポイントは、食感が残るようにジャガイモの粒を大きく残したところです。
サクサクした食感と中のほくっとしたジャガイモのコントラストを楽しんでもらいたいです。

今回はアラの風味をより楽しんで欲しく、ジャガイモとアラの二種類でシンプルに作っています。

ソースはトマトソースで、ニンニクや香味野菜が入っています。
料理人さんからアドバイスをいただき、一番合うのがトマトソースじゃないかということになりました。」

メロンの皮佃煮

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

メロンの皮佃煮は、今回いただいた中で一番驚いた料理です。メロンの皮と言われなければ、まったく気づかないと思います。
ご飯が何杯もいただける、最高のおかずでした。

<担当料理人からのひとこと>

担当料理人

「メロンの皮を捨てずに料理にできないかと考え、きんぴらのように調理しました。

外国では、メロンの皮をスープの中に入れ、煮込み料理にしています。それをヒントに和食にしました。

味は甘いと思うんですが、ほとんど砂糖は入っておらず、本来の甘さを活かした調理をしています。」

照沼シェフによるデザートを試食

ここからの3品は、サンラポーむらくもの総料理長、照沼シェフの作ったデザートです。メロンの皮を活用したデザートは、果たしてどんなお味なのでしょうか?

メロンの皮ジャムのクランブルバー

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

パイ生地とメロンの皮を使ったジャムを使用した焼き菓子、クランブルバー。
アップルパイのような風味があり、甘いジャムがサクサクのパイ生地と合って非常に美味しくいただけました。

<照沼シェフからのひとこと>

照沼シェフ

「今回はスタッフの皆さんにアラで料理を作ってもらったのですが、料理だけではなくデザートもできたらなと思い、メロンの皮を使って作ってみました。

こちらは一番下がパイ生地、真ん中はメロンの皮をジャムにしたもの、上には砂糖と小麦粉とバターを散りばめ、焼き菓子にしました。

今回、規格外のメロンを100玉購入し、活用できないかと考えました。
普段は朝食やジュースなどにもしているのですが、今回はジャムにしました。果肉はホテルの宴会やレストランで使用しています。
皮は綺麗に洗い、圧力釜で煮ました。

次回はメロンの種を活用したいのですが、加工すればするほど固くなってしまうので、逆に粉末にして何かに使えないか考えています。」

メロンの皮”スプレット”/アタゴナシの皮”スプレット”

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

今回のデザートで個人的に特に好きだったのが、このメロンの皮”スプレット”。お料理もたくさんいただいたはずなのですが、何個も食べれてしまうほど美味しかったです。

スプレットとは、パンに塗るジャムやペースト、クリームの総称です。メロンの皮のジャムをバターと合わせた口当たりの良いスプレットが最高にパンに合う…!
皮の食感はほぼ感じず、滑らかな口通りでした。

<照沼シェフからのひとこと>

照沼シェフ

「こちらは、メロンの皮のジャムとバターを合わせ、パンに乗せたデザートです。
もうひとつの赤っぽい色のものは、島根県のアタゴナシの芯・皮を使ったジャムをバターと合わせたものです。

数年前から、バターとあんこを合わせるのが流行っていますよね。
ジャムとバターを合わせることで、また違った味わいを楽しめるのではないでしょうか。

さらにジャムにすることで日持ちがするので、食品ロス対策としてもおすすめです。」

メロンの皮を煮込んだ白ワインのゼリー

第2回 エコ・ガストロノミー 〜地球とヒトをつなぐ食〜 (テーマ:魚のアラと野菜)

メロンの皮を煮る際に残った水分で作ったゼリー。本日の試食会の一番最後にいただいたのですが、爽やかな口当たりで、膨らんだお腹にもするすると入るデザートでした。

見た目もおしゃれで、思わず手に取りたくなる高級感もポイントです。

<照沼シェフからのひとこと>

照沼シェフ

「メロンの皮を圧力釜で煮るときに白ワインとお水を入れて煮込むのですが、その残った水分をゼリーにしました。

上にはフルーツとミントを乗せています。」

試食会メニュー 一覧

今回の試食会で出された料理は下記となります。

アラを使った料理

あらおかず味噌
あら玉子焼きずし
あら入りトマトカレー
あらペーストソースのシュリンプピザ
アラ!いいわね。ふりかけ
アラ?焼いちゃったのね。さば
アラ入り白身魚のピキージョ(トマトグラタン)
三瓶サーモンのアラと挽肉のレモン風味ハンバーグ
三瓶サーモンのアラ入り味噌ラーメン
アラ入り春巻き
アラ揚げ豆腐の麻婆
アラ入りジャガイモの包み焼き
魚々パン(ぎょぎょパン)
魚々っキー(ぎょぎょっキー)

野菜を使った料理

アタゴナシの皮”スプレット”
メロンの皮”スプレット”
メロンの皮ジャムのクランブルバー
メロンの皮を煮込んだ白ワインのゼリー
メロンの皮佃煮
エスディージーズ白菜クリームスープ

実際に魚のアラ料理を食べてみて

「魚のアラ」と聞くと、どうしても磯臭さを想像していたのですが、実際に口にすると、本当に口当たりがよく美味しい料理ばかりで驚きました。

実際に食べることで、固定概念が覆り受け入れられるようになると感じました。
多くの人が未利用資源を活用した料理を受け入れられるようになり、食品ロスを防ぐ活動が高まっていくと良いです。

第三弾では、魚のアラ試食会に関わった方々へのインタビュー記事をお届けします。

どのような経緯で試食会に参加したのか。未利用資源の活用にどういった考えを持っているのか、詳しくお聞きしたので、ぜひそちらもご覧ください!

(取材日:2024年12月8日、取材協力:サンラポーむらくも