普段の料理で、ネギの根っこや人参のヘタ、豆苗の根元を「使い終わったから」とそのままゴミ箱に捨てていませんか?実はその「捨てる予定だった部分」、もう一度水につけてあげるだけで、再び食べられる野菜として育つことをご存じでしょうか。
そんな野菜の再生力を活かした取り組みが「リボベジ」です。特別な道具も広いスペースもいらず、キッチンの片隅で気軽に始められるエコな習慣として、今あらためて注目されています。
なぜ今リボベジが注目されているのか、どんな野菜で楽しめるのか、そして食品ロス削減にどうつながっていくのかを一緒に見ていきましょう。
目次
リボベジって何?「再生野菜」の基本
「リボベジ」とは、「リボーンベジタブル(Reborn Vegetable)」を略した言葉で、日本語にすると「再生野菜」という意味になります。具体的には、調理のときに切り落としたヘタや根、芯など、普段なら捨ててしまう野菜の一部を水や土につけて、もう一度収穫できるところまで育てる栽培方法のことを指します。
実はこのリボベジ、特別新しい考え方というわけではありません。昔から「ネギの根っこを土に挿しておけばまた使える」といった暮らしの知恵として、各家庭で親しまれてきました。
最近になって、食品ロス削減や食費の節約、子どもの食育といった文脈で再び注目され、「リボベジ」というキャッチーな呼び名とともに広まっています。

参考:
なぜ今リボベジが注目されているのか
リボベジが注目されている背景には、家庭から出る食品ロスの問題があります。
農林水産省と環境省の推計によると、日本では令和5年度に約464万トンの食品ロスが発生しており、そのうち約半分にあたる233万トンが家庭から出ていると報告されています。さらに家庭系食品ロスの内訳を見てみると、「過剰除去」が約36万トン(全体8%)を占めています。過剰除去とは、大根の皮を厚くむきすぎる、野菜のヘタを大きく切り落としすぎるなど、本来食べられる部分まで取り除いて捨ててしまうことを指します。
つまり、私たちが「これは捨てるもの」と思い込んで切り落としているヘタや根、皮の中には、まだ十分に活用できる「食べられる部分」がたくさん含まれているのです。リボベジは、この見過ごされてきた部分にもう一度命を吹き込む、家庭でできる小さなアクションといえます。

参考:
- 環境省「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和5年度)の公表について」
- 消費者庁「食品ロス削減関係参考資料(令和7年6月27日版)」
- 地球を考える食卓「まだ食べられるのに捨てられている食べ物「食品ロス」を減らしてより地球にも人にもやさしい社会をつくろう」
リボベジで再生できる野菜
リボベジに向いているのは、ヘタや根、芯といった「成長点」が残っている野菜です。代表的なものをいくつかご紹介します。
初心者におすすめの野菜
豆苗は、リボベジの定番中の定番です。豆の少し上にある「脇芽」を残して切り、水を根が浸かる程度に入れておくだけで、約7〜10日で再収穫できるほど成長が早く、ほぼ失敗しません。豆苗専用のリボベジ容器が100円ショップで販売されているほどの人気です。
ネギも再生力が強く、初心者向きです。根元から5cmほど残してカットし、水に浸けておくと数日でぐんぐん伸びてきます。少し料理に薬味として使いたい時に、キッチンからすぐ収穫できるのが魅力です。
葉や香りを楽しむ野菜
人参や大根は、ヘタの部分を厚め(2〜3cm)に切って水に浸けると、葉が再生してきます。人参の葉は爽やかな香りがあり、スープや炒め物、ふりかけなどに活用できます。
みつばや小松菜などの葉物野菜も、根元の部分を水に浸けることで葉が伸びてきます。
少し難易度の高い野菜
キャベツやレタスは、芯の部分から再生させます。水に浸けて発根したあとに土に植え替えると、うまく育てば一玉まるごと収穫できることもありますが、安定した収穫にはコツが必要です。

参考:
リボベジの基本的なやり方と注意点
リボベジに必要なものは、野菜のヘタや根、水、そして浅めの容器だけ。お皿、コップ、タッパー、お肉のトレー、ヨーグルトの空き容器など、家にあるもので始められます。
基本のステップ
- ヘタや根元を、余裕をもって厚めにカットする(ヘタなら2〜3cm、根なら3〜5cm程度)
- 容器に切り口の下が浸かる程度の水を入れる
- 直射日光を避けた、明るい場所に置く
- 水は毎日交換する(夏場は1日2回が理想)
- 葉が十分伸びたらハサミで収穫
気をつけたい・知っておきたいポイント
リボベジでもっとも気をつけたいのは、衛生管理です。水を放置しておくと、雑菌が繁殖したり、容器の底にぬめりが出てきたりして、せっかくの野菜が腐ってしまいます。水の交換は毎日行い、容器も定期的に洗いましょう。
また、リボベジで育てた野菜は、市販の野菜のように衛生管理ができているわけではないため、生食は避けて、加熱して食べるのが安心です。炒め物やスープ、ふりかけなど、火を通す料理に使うことをおすすめします。
そして、リボベジは永遠に続けられるわけではありません。多くの野菜は1〜2回、豆苗やネギなど成長の早いものでも2〜3回程度が再収穫の目安です。回数を重ねるごとに葉が細くなり、養分が不足してくるため、状態を見ながら新しいものに切り替えましょう。

参考:
リボベジの3つの魅力
リボベジの魅力は、収穫の楽しみだけではありません。
「捨てる」量そのものを減らす
ネギの根っこ、人参のヘタ、豆苗の根元、キャベツの芯など、これまで生ゴミとして出ていた部分が、もう一度食卓に上がる「食材」へと変わります。家庭から出る生ゴミの量を減らすことは、ごみ収集や焼却にかかるエネルギーを抑えることにもつながり、環境負荷の低減という観点からも意義のある行動です。
食材を「使い切る」意識が育つ
リボベジを始めると、これまで何気なく切り落としていた部分にも目が向くようになります。「この根元、捨てる前にもう一度育ててみようかな」と考えるようになり、過剰除去を見直すきっかけになります。
節約とインテリアも兼ねる
野菜の値段が変動しやすい時代、薬味やちょい足しの葉物を家で再生できれば、ちょっとした家計の助けにもなります。さらに、おしゃれな容器に入れて並べれば、グリーンインテリアとしてキッチンに彩りを添えてくれます。

「捨てる」を「育てる」に変えてみよう
私たちの食卓から出る食品ロスの多くは、「これは食べられない」「これは捨てるもの」という思い込みから生まれています。けれど、ほんの少し視点を変えて、ヘタや根を「種」として見てみると、そこには新しい命と食卓の楽しみが眠っています。
リボベジは、特別な知識や道具がなくてもすぐに始められる、いちばん身近なサステナブルアクションかもしれません。豆苗1パックから、ネギ1本の根っこから、まずは気軽に始めてみてください。日々の小さな発見が、食品ロス削減という大きな目標に、確かにつながっていきます。
(文・画像・構成 TET学生編集部)