スーパーやお店で買い物をするとき、「これは環境にやさしい商品なのかな?」と気になったことはありませんか。最近では「カーボンニュートラル」「CO2排出量」といった言葉を目にする機会が増えてきました。けれども、その商品が実際にどれくらい環境に配慮しているのかを、数字ひとつで判断するのは難しいものですよね。
そんなときに役立つのが「デカボスコア」という指標です。この記事では、デカボスコアとは何か、他のエコラベルと比べてどんな特徴があるのか、それを知ることでどんな良いことがあるのか、そして自分自身の暮らしのCO2排出量を測れる「デカボmyスコア」について、わかりやすくご紹介します。
目次
デカボスコアとは何か
デカボスコアとは、商品やサービスをつくる過程で排出されるCO2(二酸化炭素相当量)が、従来のものと比べて「何%少なくなったか」を、誰にでも直感的にわかる形で見える化した指標です。
「デカボ」とは「デカーボネーション(脱炭素化)」の略で、CO2をできるだけ出さないようにしようという考え方を指します。このデカボの指標「デカボスコア」を考案したのは、脱炭素社会の実現をめざす会社「Earth hacks(アースハックス)株式会社」(※)です。

※Earth hacks: 2022年に博報堂の新規事業開発組織「ミライの事業室」と三井物産が共同で開始したプロジェクト。2023年に「Earth hacks株式会社」設立。
「カロリーオフ」や「糖質オフ」の表示が買い物のときの参考になるように、これからは「カーボン○%オフ」が新しい目印になっていく。そんなイメージで考えると、わかりやすいかもしれません。
なぜ、このような指標が生まれたのでしょうか。SDGsへの関心が高まるなかで、商品の生産工程やサービスにおいて排出されるCO2の量を、私たちが目にする機会も増えてきました。ところが、いざその数字を見ても、排出量が多いのか少ないのか、どれくらい環境に良いのかを判断するのは、なかなか難しいものです。
そこでEarth hacksが考えたのが、「従来の素材や手法でつくられた製品」と「環境に配慮した商品」のCO2e(※)を比べ、どれだけCO2排出量を削減できたかを数値で見える化するという方法でした。これなら、誰にとってもわかりやすい指標になるのではないか。そんな発想から生まれたのがデカボスコアです。
計算式はとてもシンプルです。デカボスコア=「(比較対象製品のCFP − 対象製品のCFP)÷ 比較対象製品のCFP × 100」で求められ、この値が大きいほど、CO2を多く削減できていることを意味します。ここでいうCFPとは「カーボンフットプリント」のことで、原材料の調達から製造・流通・廃棄まで、商品のライフサイクル全体で排出されるCO2量を指します。

※ CO2e: 「二酸化炭素換算量(カーボン・ダイオキサイド・エクイバレント)」の略。地球温暖化に影響する温室効果ガスにはCO2のほかにメタンなど様々な種類があるが、それらをまとめてCO2の量に換算して表したものをCO2eという。CO2eを用いることで、いろいろなガスの影響を、一つの数字で捉えることができる。
どんな商品についている?
デカボスコアは、今さまざまな商品に導入されています。
食卓に身近なところでは、UCCホールディングスが、珈琲の製造過程で工場に太陽光発電を導入したり、抽出後のコーヒーかすを熱源に使ったりすることで「8%オフ」を実現しています。
ほかにも、スーパーの棚でおなじみの食品・飲料が次々と参加しています。たとえば味の素の「ほんだし®」や「Cook Do®」、ニチレイの冷凍食品「本格炒め炒飯」や「今川焼」、飲料ではサントリーの「緑茶 伊右衛門」や「天然水」、キリンの「生茶」、味の素AGFの「ブレンディ®」など。いつもの買い物カゴに入る商品にも、少しずつデカボスコアが広がっています。
導入されているのは食品・飲料だけではありません。無印良品の「竹100%ティッシュペーパー」やマイバッグ、花王の食器用洗剤「キュキュット」、コーセーの「薬用雪肌精」の詰め替え、ファミリーマートの衣料品「コンビニエンスウェア」など、日用品から美容、ファッションまで幅広いジャンルに広がっています。

飲料や食品、日用品など、商品の種類を問わずに同じ「○%オフ」という形で比べられるのも、デカボスコアならではの特徴です。
画像元・参考:
- Earth hacks & Co.「UCC上島珈琲 おいしいカフェインレスコーヒー コク深め 1箱(50袋入)」
- Earth hacks & Co.「ニチレイ|デカボみっけ!宝塚モデル 今川焼(カスタードクリーム)」
- Earth hacks & Co.「良品計画|無印良品 竹100%ティッシュペーパー」
他のエコラベルとどう違う? デカボスコアの「わかりやすさ」
環境に配慮した商品を選ぶための目印といえば、これまでも「エコラベル(認証マーク)」がありました。別の記事「環境に配慮した食品の見つけ方:エコラベルやQRコードをチェックしてみよう」でご紹介したように、認証マークは、厳しい基準を持つ第三者機関が「これは環境や社会にしっかり配慮して作られた商品ですよ」と客観的に認めたことを意味します。有機JASマークやMSC「海のエコラベル」など、買い物のときにチェックしたいマークはたくさんあります。

こうしたエコラベルはとても大切な仕組みですが、ひとつ難しい点もあります。それは、マークの種類がとても多く、それぞれ基準や注目している環境要素が異なることです。Ecolabel Indexによると、2023年現在、199カ国において25業種、456種ものエコラベルが存在するといわれています。これだけ多いと、どのマークが何を保証しているのかを覚えるのは大変ですし、マークが「ついているか・いないか」はわかっても、「どのくらい環境に良いのか」という程度までは、ひと目では伝わりにくいのです。
参考:IDEAS FOR GOOD「エコラベル(Ecolabel)とは・意味」
その点、デカボスコアは「従来比○%削減」というひとつの数字(削減率)で示されるのが大きな特徴です。マークの意味をひとつずつ覚えなくても、数字が大きいほどCO2を多く削減できている、と直感的に理解できます。「環境に配慮していること」を示すだけでなく、「どれだけ配慮しているか」という程度まで一目で比べられる。ここがデカボスコアならではのわかりやすさです。
もちろん、エコラベルとデカボスコアはどちらが優れているというものではなく、見るポイントが違います。エコラベルは農薬や森林管理、労働環境など幅広い観点を含み、デカボスコアはCO2排出の削減率に焦点をあてています。両方を上手に使い分けることで、買い物の選択がより納得のいくものになるのではないでしょうか。
デカボスコアを知ることのメリット
デカボスコアを知ることには、私たち生活者にとってうれしいメリットがいくつもあります。
環境への配慮が「見える化」され、選びやすくなる
1つ目は、環境への配慮が具体的な数字として見えることです。「○○トンのCO2」と言われてもピンときませんが、「従来比○%削減」という削減率で示されれば、その商品がどれだけ環境にやさしいのかを一目で比較・判断することができます。
客観的で信頼できる数値
2つ目は、数値の客観性と信頼性が高いことです。デカボスコアはLCAコンサルタントが公正な第三者として算出し、自社調べではない客観的な数値として活用されています。企業が自分たちで「環境にやさしい」と主張するのではなく、第三者が公正に算定しているので、安心できますね。
参考:Earth hacks & Co.「デカボスコアについて」
脱炭素を前向きに「自分事」にできる
3つ目は、脱炭素を無理なく、前向きに楽しめることです。従来品との差分が明確で、消費者はこれまで以上に、ポジティブな気持ちで商品を手に取ることができます。「環境のために我慢する」のではなく、自分が選んだものや口にするものが、結果的にCO2削減という環境への貢献につながっている。そんなちょうど良い・心地よい関わり方ができるのが、デカボスコアの大きな魅力です。

デカボmyスコアを測ってみよう
デカボスコアは商品だけのものではありません。自分たちが日常生活を通じて、年間どれくらいのCO2を排出しているのかを測れる「デカボmyスコア」というサービスもあります。
使い方はとても簡単です。移動手段、ショッピング、住居、食事の4つの観点から、12問の簡単な質問に答えることで、個人の年間二酸化炭素相当排出量を算出することができます。専門的な知識は必要なく、選択肢を選んでいくだけで、年間のCO2排出量を計測できます。

まずは、いまの自分のスコアを知ることから始めてみましょう。現在の暮らしがどれくらいの排出量なのかを把握できれば、「どこを変えればもっと減らせるのか」が見えてきます。たとえば移動手段を見直したり、食事の内容を少し変えたり。小さな一歩が、地球にやさしい暮らしへの入り口になります。
ぜひ一度、ご家族やお友だちと一緒に、myデカボスコアを測ってみてはいかがでしょうか。
▶ デカボmyスコアを測ってみる:Earth hacks & Co.「あなたは〇〇トン!?デカボmyスコア」
(文・画像・構成 TET学生編集部)